雑誌で見る外人のモデルのようなきれいな歯並びになりたい。
すっきりした口元になりたい。
笑った時、白くてきれいな歯並びを見せたい。そんな希望を持ったお子さんや成人の方が増えています。美しい笑顔、きれいな歯並び、それはあなたの一生の財産になります。
”○○は歯が命”などと最近は白い歯、美しい歯並びに注目が集まっています。小さい頃は八重歯がかわいいと言われていたが、大人になるとやはり気になり、真っ直ぐな歯並びにしたいと言ってくる大人の方もいます。きれいな歯並びは見た目の美しさもありますが、むし歯になりにくい、歯槽膿漏にかかりにくいなど歯の寿命を延ばすという点において、たいへん重要なポイントになってきます。
(1)矯正のメリットは? 来院される患者さんのほとんどは、見た目に美しくなりたいという希望からですが、ほかにも多くのメリットがあります。きれいな歯並びで正しく機能していれば、きちんと物が咬めるようになり、消化運動の促進につながります。また口の周囲の神経に刺激を正しく伝え、しっかりとした顎の骨を作ります。全部の歯で咬めるようになることで、筋肉の瞬発力が増すとも考えられており、アメリカのカール・ルイス選手などは記録の更新のために矯正をしたと言われています。
(2)どんな歯並びを矯正したほうがいいの? 矯正が必要な歯並びとは、上下の歯がしっかりと咬めない、唇を自然に閉じることができないなどです。これには大きく分けて4つあり、上の歯が前に出ている出っ歯(上顎前突)、下の歯が前に出ている受け口(下顎前突)、上下の歯が咬み合わない(開咬)、八重歯や乱ぐい歯(叢生)があります。
この中で最も多く見られるのが叢生で、歯の大きさは普通なのに、顎が小さくて歯の生えるすき間がない子供達が増えています。昔とくらべ、軟らかい物ばかり食べてあまり咬まないから顎が発達しない。そこに今までと同じ大きさの歯が生えてくるので、でこぼこになってしまうわけです。このようなお口では、せっかく歯ブラシをしても磨き残しが多く、むし歯や歯槽膿漏、口臭の原因になったりもします。
(3)どうやって歯を動かすの?
歯は骨との間に歯根膜という靭帯を介してくっついており、この歯根膜が外力に対して、クッションのような役割を果たしています(図1)。ところが、この外力が適切な力の量で持続的に働くと歯のまわりの骨は変化を起こし、圧迫された方の骨が溶け、反対に引っ張られた方の部分には新しい骨が作られ、歯は動き始めます。
”矯正治療”はこの生体の性質を利用して、歯を顎の中で動かすという治療方法です。持続的な力を歯にかけるため、一本一本の歯にブラケットという溝のついた矯正装置を接着し、この溝にワイヤーを通して、力をかけるのです。
治療例はこちら
(4)歯を抜いて矯正すると聞きましたが?
歯を動かすのには移動する方向にスペースがなくては無理なわけで、そのためには健康な歯を抜くこともあります。先ほど述べた、叢生という不正咬合の患者さんでは、半分以上の割合で犬歯のすぐ後ろの第一小臼歯という歯を上下左右の合計4本抜きます。このできたすき間を使って、残った歯をきれいに並べていくわけです。すき間は全部、自分の歯で埋まり、入れ歯やさし歯、ブリッジにするといったようなことはまずありません。(図2)
(5)月に何回くらい?
またどのくらいの治療期間が必要なのですか?
矯正治療に必要な検査・診断をしてからは、ふつう月に1回となります。歯が骨の中を動くのには、矯正力をかけ歯の周囲の骨を変化させなければなりません。この矯正力の調整に月1回の来院が必要になるのです。
治療期間は歯並びの悪さの程度、年齢、指示された装置の使用状況などによって違いますが、だいたい装置を入れて2年から2年半くらいが平均的なところです。ただ、矯正装置をはずした後も、保定装置といって、動いた歯がもとに戻らないようにするために、とりはずしのできる装置(リテーナー、下図)を、2年くらい入れておかなければなりません。
(6)矯正治療はいつ始めたらよいのでしょうか?また何歳まで出来
るのでしょうか?
でこぼこしているだけの歯並びなら、中学生になってからで十分です。しかし、顎のズレがあるときや、上下の歯が反対に咬んでいるときは、小学校の低学年(7歳から8歳くらい)に一度、矯正専門医のところを訪れたほうがよいでしょう。また、ほんとうは矯正治療は成長が終了する20歳くらいまでにすませておくのがベストですが、歯槽膿漏・歯肉炎などがなければ治療期間は長くなりますが3、40代でも可能です。
(7)一度矯正治療をしたら、もとには戻らないのですか?
成長期に治療した患者さんは、比較的戻りが少ないのですが、顎のズレが大きい人や、成人で治療した患者さんは戻りやすいことが多いようです。また、咬む力が弱かったり、舌に悪い癖が残っていたりすると、不正咬合が再発しやすく、矯正装置がはずれた後も注意しなければなりません。永久智歯(親しらず)が生えてくる時に前歯を押して、不正咬合が再発しやすいのも事実です。しかし、どんなに正常な咬み合わせの人も、年齢と共にわずかな、でこぼこが発生してくると言われています。
〔矯正医 略歴〕
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)歯学部 客員研究員
歯学博士号取得
日本矯正歯科学会 認定医・指導医
日本歯科矯正学会会員
アメリカ矯正歯科学会会員
顎変形症学会会員
日本口蓋裂学会会員
最近の主な著書・論文
・歯と口の健康百科 医歯薬出版 2000年
・歯と口の健康づくり 医歯薬出版 2001年
・「Time saving cloosing loop for large anterior retraction」
アメリカ臨床歯科学会誌 2003(Jan)
・「The Center of Resistance of anterior arch segment」
アメリカ臨床歯科学会誌 2002(117)、他